世界一に選ばれたこともあるというHelsinki Central Library Oodi (ヘルシンキ中央図書館)。巨大な船のような設計は地元の建築事務所ALA Architectsが担当。ダイナミックな曲線を用いた外観はどこから見ても迫力満点で、この日は快晴の青空と木材の色が気持ちよく調和していた。この図書館はヘルシンキの独立100周年を記念して建てられたプロジェクトで市民の意見を多く取り入れた画期的な施設となっている。中ではカフェやイベントスペース、音楽スタジオやキッチンスタジオなどが設置され、単に図書館だけではない、誰もがいつでも利用できる総合的な文化施設として機能している。そこではミシンでハンドバッグを縫製している隣で3Dプリンターを使ってプロダクトのシミレーションをしているなど、市民の人々が思い思いに創作に励む画期にあふれていた。「本の天国」というコンセプトの図書フロアは天井が白く有機的な曲線で所々に自然光が差し込む穴が開いており、いつまでも過ごしていたいような気持ちの良い空間が広がっていた。
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Delft University of Technology ( TU Delft ) (デルフト工科大学)
ヨーロッパの科学技術分野における第6位の名門校として位置付けられている Delft University of Technology (略して TU Delft) (デルフト工科大学) 。そのデザイン工学部を見学してきた。巨大なガラス張りのエントランスを抜けるといきなり3階分の広大な吹き抜けのオープンスペースが現れる。広々とした空間には誰もが自由に使用できる電源付きのテーブルや椅子、パソコンが並べられ、訪れる者を歓迎するような開かれた雰囲気が感じられる。各々の研究室に行くには必ずそのホールを通らないといけないのでいつも学部で何が起こっているのかを知ることができ、集まる学生たちの議論によって、常に新しいアイデアが産み出されるような理想的な環境となっている。大きな工場のような鉄骨の柱と天井からはガラス板から自然光が降り注ぎ、また観葉植物や木材を適所に使用することで冷たすぎないバランスの良い建築も素晴らしい。
続きを読む “Delft University of Technology ( TU Delft ) (デルフト工科大学)”Rotterdam Centraal station
ロッテルダムは現代的かつ個性的な建築が多く、 Rotterdam Centraal station (ロッテルダム中央駅)もそのひとつ。Team CSと名付けられた Benthem Crouwel Architects、MVSA Architects、West 8による共同設計で、ロッテルダム駅の利用客増に伴い2014年に旧駅舎から建て替えられた。正面から見た駅建物は左右非対称でどの角度から見ても大胆なパースが近未来的な印象を与え、周辺の洗練された都会的なビル群とも調和している。かと言って壁面や駅構内の天井には木材が使用されているため冷たい感じはなく、多くの人が訪れても居心地の良い空間となっている。駅から少し離れた場所には駅舎と揃えたデザインの鋭角の入り口が特徴の駐車場も併設されていておもしろい。また駅周辺にはそれぞれ個性的な建物が立ち並び、街歩きを楽しくさせてくれる。
続きを読む “Rotterdam Centraal station”Depot Boijmans Van Beuningen
オランダ、ロッテルダムにある Depot Boijmans Van Beuningen (デポ・ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン)。設計はオランダを代表する建築事務所MVRDVを率いるWiny Maas。ここは現在改装中であるBoijmans Van Beuningen美術館の保管庫として計画されたが、単に閉じられた倉庫ではなく、世界初の一般公開された収蔵庫となっている。街の公園内に配置される建物は設置面積を最小限にするというロッテルダム市の要望のため、お椀型が採用され、また名称のDepotも英語で「倉庫」、オランダ語で「大きな釜」という意味も兼ねている。特徴的な外壁はミラーパネルを使用し、街並みや背景が映り込むことでこの突然現れた奇妙な建物が周知に溶け込み、存在感をかき消すことに成功している。建物内には絵画、彫刻、家具、陶器、服飾など様々な貴重な美術品が厳密な温湿度管理と共にガラスケースに保管され、一般の人はその一部を見学することができる。内装は近未来的で一見、入り組んでいるように見えるが、それは見る人に探索する楽しさを与えている。屋上はフラットな空間に様々な木々が植えられ、自然と一体となった気持ちの良い空間を創り出すという試みがなされている。現在、一般見学は予約が必要だが同時に無料のガイドツアーも行われおり、ただそちらは定員に限りがあるので早めの時間に訪れることをお勧めする。
続きを読む “Depot Boijmans Van Beuningen”Salk Institute for Biological Studies (ソーク研究所)
サンディエゴにある生物医学を専門とする Salk Institute for Biological Studies (ソーク研究所)。ルイス・カーンによる設計でその佇まいは幾何学的な直線で構成され、まるで近未来の映画のセットのよう。中まで入りたかったが鉄壁のガードに阻まれて外側から撮影したが、ところどころ木材が使われていたり、目の前の美しい海岸という立地を最大限に生かした設計により研究所という冷たさを感じさせない。
続きを読む “Salk Institute for Biological Studies (ソーク研究所)”Berliner Philharmoniker
世界的に有名な Berliner Philharmoniker (ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)。制作はドイツ人の建築家、ハンス・シャロウン設計のコンサートホールをモチーフとし、組み合わせた五角形はそれぞれ人、音楽、空間を表しているという。おそらくダイナミックな動きを与えるためにランダムな角度で形作られている。ブランドカラーの黄色も効果的。
続きを読む “Berliner Philharmoniker”Fondation Louis Vuitton
パリのブローニュの森近くに鎮座するこの建物は、フランク・O・ゲーリーの設計によるルイ・ヴィトン財団美術館「 FONDATION LOUIS VUITTON 」。コンセプトは「フランスの深い文化的使命感を象徴する壮大な船」ということで外観はヨットや帆を思わせる形状が美しい。内部には初期のスケッチから材質の展示、建物に合わせた現代美術などが展示されている。
続きを読む “Fondation Louis Vuitton”イノダコーヒ 本店
京都に構える イノダコーヒ 本店。佐川美術館を手がけた内海慎介(竹中工務店社員)が設計し、昭和のレトロな雰囲気が楽しめる老舗の喫茶店。欧風なロゴや看板と京都の町家の組み合わせがおもしろい。
続きを読む “イノダコーヒ 本店”POLIN Museum of the History of Polish Jews (ポーランド ・ユダヤ人歴史博物館)
ワルシャワにある POLIN Museum of the History of Polish Jews (ポーランド ・ユダヤ人歴史博物館)。1995年にユダヤ歴史研究所の提案で発足した建設プロジェクトで設計はフィンランド人建築家ライナー・マフラマキ。エントランスからメインホールにかけて波打つ高い壁はポーランドとユダヤ人の歴史の亀裂を象徴するものらしい。外側の壁にはラテン語とヘブライ語でPolinという文字が連なり、ポーランド人としての誇りを感じる。ロゴマークもシンプルで秀逸。
続きを読む “POLIN Museum of the History of Polish Jews (ポーランド ・ユダヤ人歴史博物館)”Oslo Opera House (オスロ・オペラハウス)
オスロの港にある Oslo Opera House (オスロ・オペラハウス)。ニューヨーク世界貿易センタービル跡地「グラウンドゼロ」などの業績で知られるノルウェーの建築設計事務所スノーヘッタによる設計。外観は自然からインスピレーションを得た氷山を模した形状で内装にはオーク材が多く使われている。大理石が敷かれた屋上からはオスロの街並みや港が見回せて気持ちのいい空間となっている。
続きを読む “Oslo Opera House (オスロ・オペラハウス)”Astrup Fearnley Museum of Modern Art (アストルップ・ファーンリ現代美術館)
オスロにある Astrup Fearnley Museum of Modern Art (アストルップ・ファーンリ現代美術館) 。2012年にオープンしたこの建築はレンゾ・ピアノの設計による。周りの海と調和するように船をモチーフにすることにより木材をふんだんに使用し、屋根は帆をイメージした弧を描く気持ちのいい場所。
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